■片桐大智ってダレ?
株式会社セガ AM R&D2 所属。『バーチャファイター5』ゲームディレクター。
バーチャファイターシリーズや『デイトナUSA』、『アウトトリガー』等色々なジャンルのゲーム調整を担当。
ゲームはジャンルを問わずどれも好きです。 最近は『バーチャファイター5』や海外のとあるMMOをプレイしています。
■D.K.のVF5通信:第97回■

こんにちは。D.K.です。

今回のD.K.通信は、9月4日に行われた東西対抗戦の感想について、現場に行ったマンシ、羽田、片桐がそれぞれ書いてみたいと思います。
さっそく順番にいってみましょう!

【マンシ】
実況のお手伝いをさせていただきましたマンシです。

僕自身ヘビーなプレイヤーですので、興味本位で出場者の方々と東西対抗戦開始前にいろいろとお話しさせていただきました。  

「考えられる全ての対策は尽くした。負けたら地元に帰れない」  
「推薦してくれた人のために無様な姿は見せません」  
「負けるわけにはいかない! でも不安よりワクワクするほうが大きい!」  
「ここで一発かましたろ思てんねん!」  
「キャーーーン言わしたるわ」

各々月並みな返しではなく、言葉のチョイスはだいぶ違うものの東西対抗戦に対する意気込みが凄く伝わってきて、とんでもない舞台を実況することになっていることを、出場者の意気込みから実感させられました。
正直、その熱い気持ちのせいで緊張がさらに増してしまい、彼らに話しかけたことを後悔するぐらいでした。

しかし、いざ対抗戦が始まってみると、最高のメンバーによる最高の試合という名のドラマが繰り広げられており、言葉を忘れるほど見入ってしまいました。実況の立場としては最低ですが、みなさん同じような印象を受けたのではないでしょうか?

あさぽんファンも含め会場が一体となった素晴らしい大会になりました。
配信をご覧の方々にも伝わったと思います。
出場者、会場に足を運んでくださった方々本当にありがとうございました。

「俺もあの舞台にプレイヤーとして立ちて〜〜〜!」

【羽田】
一番輝いていたのは代表選手でした。何よりも、それに尽きます。

当日は私自身、元鉄人などという立場で会場のゲスト席に座らせて頂いたわけですが、今回のイベントについては、周りから茶化すことをしたくなかったため、特に気の利いたコメントもできず、謎の立ち位置になってしまいました。その点では、非常にもどかしくもあり、個人的な反省もあり、といったところです。

昔話をさせてもらってよいでしょうか。

私が"鉄人"だったころの現役時代、シード権を頂いて『VF2』の全国大会本戦に出場したものの、2回戦負を喫する、ということがありました。大会の前夜には前夜祭が催され、それはそれは立派な"鉄人認定証"盾を授与して頂いたところではあったのですが、その翌日(つまり大会当日)、大会終了後にステージ上で宣言し、"鉄人"を返上させて頂きました。

大会結果がふがいなかったことが一番の理由にはなりますが、全国大会という場を使って、しかも前日授与頂いた正式な認定を返上する、といった点については、そのほうがおもしろいイベントになると思ったからでした。

今思えば、とてもつたないところですが、チャンピオンベルトの返上のような、プロレス的な仕掛けのつもりだったのです。打ち合わせもせずに行ったので、周りの方々には大変ご迷惑をお掛けしたところもあり、その点は反省しきりですが……(元来、プロレスは大好きです。真面目な話、私はアントニオ猪木さんを第二の父親だと思っています)。

"東西に分かれて戦う"という図式によって生まれるのは、地域を背負って戦う以上、負けるわけにはいかないという強い思いと、その強い思いから生みだされる真剣勝負が見られるのではないか、という期待です。その期待は、フタを開けてみるまでどのように昇華されるのかわかりませんでしたが、選手たちは、その趣旨を説明なしで受け入れてくれ、そのプロレス的なアングルに乗っかってくれたように見えました。選手たちは、そのほうがおもしろいイベントになると思ってくれたからではないでしょうか。

イベント中のコメントでも喋らせて頂きましたが、VF.NET選抜同士の5on5、初戦の「西:フルスイングvs東:ちび太」戦は燃えましたね。何度も頭皮に電気が走りました。久しく味わってはおらず、そしていつか味わったことのあるこの感覚。これはそう、2000年5月、PRIDE GRAND PRIX「桜庭和志vsホイス・グレイシー」の第5ラウンドを観戦していたときに味わったのと同じ感覚。これ、伝わりますかねー。総合格闘技を見てるのと、VFの試合を重ねて見てるだなんて、無理がありますか? 私にとっては同一線上にある、極致の感動なんですけどね。

第3部のあさぽん組手もしかり、です。ファンの方々が全員であさぽんを応援して、いっしょに盛り上がろうとする姿勢が、イベントの盛り上がりに寄与していることを、まざまざと感じます。恐らくは参加者全員が、そのほうがおもしろいイベントになると思っているからでしょう。

新たな試みが多数含まれていた東西対抗戦は、結果、大盛況のうちに終了したと思っています。「こういうイベントをまたやってください」とは複数の代表選手からも聞いたところではありますが、成功に落ち着いたところは、直接的間接的を問わず、参加いただいたすべてのユーザー、ファンのみなさんの協力と、おもしろいイベントになってほしいという熱い思いによって成り立っているものだと確信しました。

東西対抗戦に出場した代表選手全員には、心より敬意を表したいと思います。選手たちの心情をすべて理解することなどは到底できず、想像するのもおこがましいかもしれませんが、恐らくは、緊張、不安、恍惚が交錯する中、それぞれ地域の威信をかけて真剣勝負がされていたはずです。大会翌日、宿泊ホテルのエレベーターで会ったフルスイング選手が「何試合もしてないのに、こんなに疲れたのは初めてです」と、赤い目で語ってくれました。それだけ、1戦に掛ける思いが強かったのだと思います。

本来であれば、選手ひとりひとりに挨拶させて頂きたかったですが、それは"次の機会"に回したいと思います。どんな形にせよ、互いに『バーチャ』を続けている限り、いつかどこかで、必ずまた会えますからね。

短くまとめるつもりが、ついつい長くなってしまいました。
ありがとうございました。

【片桐】
前回の第96回でもちょっとだけ書きましたが、東西対抗戦は企画から運営まで、最初から最後まで開発側が関わった初めてのイベントでした。 VF.NETを使った投票を含め、私たちの準備が万全にできたかどうかチェックする時間が少なかったため不安が残っていましたが、実際会場に行ってみてプレイヤーの皆さんのモチベーションの高さや、大会を楽しもうという姿勢に、大会そのものへの不安は無くなりました。 大会が始まってからも会場に来てくれた皆さんや、選手の皆さん、ゲストのあさぽん(下田麻美さん)、YOUさんが、イベントを楽しみつつ盛り上げてくれた事がとてもとても嬉しかったです。

〜 東西戦について 〜
久しぶりに大会へ参加させていただいたのですが、やっぱりライブ感が違いますね。
この感じ、なんというかとても馴染みます。しみこみます。忘れかけていた何かが戻ってくる感じとでも言うのでしょうか、軽く、いやかなりの感動で震えてくる感じでした。
選手同士の煽りも、コンボが決まった時のお互いの掛け声も、勝敗を決したときの歓声も、全てが熱くて今思い出して書いていても感動がよみがえるレベルです。
開発時に「ここまで出来たらすごいな」という感じで作っていた攻防が、大会という極限状態で実際に行われているのを目の当たりにすることが出来た事も感動です!
コンボやキャラ対策も本当によく研究されていて、プレイから伝わってくるものが本当に多くて、情報量の多さにゲストという立場を忘れて見入っていました。

〜 あさぽん組み手について 〜
あさぽんが来て組み手をしてくれるだけでもミラクルな事だと思うのですが、前日も寝る間を惜しんで、翌日の組み手のことやイベントについて考えてくれていました。加えて、朝からバーチャを練習する徹底ぶりに正直感激しました。
組み手自体は3勝7敗と負け越してしまって、あさぽんは悔しそうでしたが、バーチャを全く知らないところからスタートして、今回の組み手では試合内容から何をしたいかが伝わってくるようになってきているのが本当にすごい! と思います。
それを支えているファンの皆さんの「あっさぽん!」コールもすごい!
最初はバーチャプレイヤーも懐疑的に捉えていたように見えていたのですが、後半ではファンの皆さんと一緒に「あっさぽん!」コールをしてくれていて、東西戦とは一味違った熱い盛り上がりに新しい可能性を感じました。

〜 10on10について 〜
大会開始前からプレイヤーの皆さんがぜひ10on10をやりたいと聞いていましたし、周りからもそうした声が上がっていましたので、会場の撤収ギリギリまでやっちゃおう!ということで開催することとなりました。
運営スタッフが撤収作業で足りない中、選手の人たちが率先して居ないプレイヤーを探したり集めてくれたり進行を手伝ってくれたので実現できたところは大きかったです。
Ustreamの配信のスタッフもいなかったので私が席に座ってオペレートして本当の突貫工事でした。
オペレートといってもオフィシャルアカウントからコメントを書く、中継カメラを切り替える、配信機材の撤収作業を待ってもらう、くらいしか出来ませんでしたが、「運営GJ」のコメントがとてもうれしかったですし、試合の最後まで配信できて本当に良かったと思います。

〜 さいごに 〜
冒頭で少し触れましたが、やはり運営側の準備不足については本当に申し訳なく思っています。
VF.NETのルールでプレイヤーがなんらかの事情で来られないときの対応が告知されていなかった件や、どのような形式の大会をどういったタイムテーブルで行うか、Ustream配信をするのか等のインフォメーションが後手に回ってしまったところは、本当に反省すべきところだと実感しています。
イベントとしては成功の部類に入り、とても盛り上がったと自負していますが、成功できたのは全て、プレイヤーの皆さんと会場に来ていただいた皆さんのおかげでできたことだと思っています。
イベントを運営する側としてはまだまだしていかなければいけない事があると実感しました。今回至らなかった部分は必ず今後に生かして反映させていきます。すみませんでした。

最後になりますが、今後も出来る限りイベントをサポートさせていただきますので、バーチャファイターをよろしくおねがいします!
それではまたお会いしましょう。
オーイェー!



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