■片桐大智ってダレ?
株式会社セガ AM R&D2 所属。『バーチャファイター5』ゲームディレクター。
バーチャファイターシリーズや『デイトナUSA』、『アウトトリガー』等色々なジャンルのゲーム調整を担当。
ゲームはジャンルを問わずどれも好きです。 最近は『バーチャファイター5』や海外のとあるMMOをプレイしています。
■D.K.のVF5通信:第76回■

こんにちは。D.K.です。
VF5FSで導入されたKOTSPについて第68回で簡単ですが書かせていただきました。
今回はさらに突っ込んだ内容をTwitterのVF公式アカウントでもおなじみの米澤君が書いてみたい!!
という事でしたので書いていただきました。
それでは米澤君どうぞ〜

こんにちは。VF5FS開発チーム企画の米澤です。

稼動から少し時間が経ってしまいましたが、今回はノックアウト・トライアル スペシャル(KOTSP)について紹介してみたいと思います。

以前D.K.さんから概要の紹介はされていたと思いますので、今回はもう少し踏み込んだ内容、モードの見所や仕様の意図などを紹介していきたいと思っています。

まずKOTSPのコンセプトについてお話させてください。

今回のコンセプトは、「面白いシングルモードにする」ことです。ゲームを開発しているのですから、当然ですよね。ただ、以前のKOTでは、これは二番目の目的だったのです。以前は、あくまで「対人戦ありき」で開発していました。例えばノックアウトキャラクターに負けた場合、そのキャラクターごとにアドバイスが設定してあり、勝つためのヒントとして参考にできるようにしていました。あるいはエリアに所属するキャラクターを体重別に分け、連続技の練習がしやすいように配置していました。

面白さよりもまず、このモードをプレイすることで、対人戦の練習にしていただき、対人戦の面白さを知っていただきたい。そういうコンセプトで、開発してきたんですね。
そこを、今回は少し変えてみようと考えました。プレイヤー人口の減少や、プレイヤー間のスキル格差がより顕著になっている現状を顧慮して、今までの流れを踏襲しつつ、今回はシングルモードとしての面白さをより追求した内容となっています。

ですから、「対人戦にあまり興味がない」方にも、楽しんでいただけるものにしたつもりです。最近プレイしていなくて、対人戦をしても勝てないから面白くない、と感じている方や、これからVFを始めてみたいけど、対人戦まではやりたくないな、と感じている方などに、ぜひとも遊んでいただきたいコンテンツとなっています。

そうした意図で導入した変更点は、大きく分けて3点になります。 では、ここからはその変更点について、順を追って紹介させていただきますね。

■シングルモードで段位が上がる!

まず最初に、段位についてお話します。KOTSPでは、ノックアウトキャラクターに段位が設定されていて、対人戦と同じように段位が変動します。

段位システムそのものも変わっていますので、各段位の位置付けもVF5Rまでとは違うのですが、それでも今回は、称号まではKOTSPで上げられるようになっているんです。

これは前述したコンセプトに則って、称号未満の段位、つまり数字段位までは、KOTSPのゲーム部分に解放した形です。

KOTSPをやらなくても段位は上がりますし、対人戦をガシガシとプレイされている方ならサクサク称号までいけると思います。ただ、対人戦をプレイしない方でも、段位を上げて、自分が強くなっていくことを実感する面白さは体験していただきたいな、と思い、このような仕様にしてみました。

KOTSPにはゲームクリアが存在しますが、それとは別に、「段位を称号まで上げた」というのも立派な目標として成立するようになっていると思います。

もちろん、称号まで段位を上げたあとは、対人戦も楽しんでいただきたいな、とは思っているのですが、そこは個人の自由ですから、続けて対人戦をやってもらうもよし、他のキャラも称号まで上げてみるもよし、ご自分の楽しいと思われるやり方で、遊んでみてくださいね。

■攻略の自由度が増加!

今回のKOTは、全てのノックアウトキャラクターを撃破しなくとも、新しいエリアが選択、攻略できるようになっています。

KOTSPの目的は、全てのエリアの制圧です。これを達成すると、ひとまずゲームクリアということになります。従って、今回は全ノックアウトキャラクターを撃破しなくとも、ゲームクリアが可能となっています。

そのため、エリアが解放されたあとは、好きなエリアを選んで攻略を進めていくことができます。ゲームクリアをすると一定量の報酬が手に入るので、これを目指すのもいいのですし、後半のエリアの方が全体的に高段位のノックアウトキャラクターが登場しやすくなっていますので、段位を上げたい場合は後半のエリアを選択するのもアリですね。

特定のエリアにしか登場しないノックアウトキャラクターも存在するので、後述のノックアウト名鑑を埋めるために、それを狙ってみるのも選択肢のひとつです。

このように今回は、より自由度が高く、目的に合わせて攻略を進めることができるようになっていますよ。

■ノックアウト名鑑を集めて見せ合おう!

 

最後に紹介するのは、ノックアウト名鑑です。

先ほど触れた通り、今回は全てのノックアウトキャラクターを撃破しなくとも、ゲームクリアが可能になっています。ただし、ゲームの進行と関係なく、一度でも撃破したノックアウトキャラクターは、VF.NETの「ノックアウト名鑑」に登録されます。

たくさんある項目を、プチプチとひとつずつ潰していく行為は、楽しいものですよね。同じような要素を持ったゲームもたくさん出ています。今回はその「集めていく楽しみ」を皆さんに味わっていただきたいと思い、このような仕組みを用意してみました。

ノックアウトキャラクターの数は前回より増加し、実に1.5倍以上となっています。そのうちの大部分は通常のチームに所属するキャラクターですが、一部のキャラクターはチームに所属しない、「アウトロー」というカテゴリに属しています。

アウトローは、特定の条件を満たしたときに登場するようになっています。彼ら全員を撃破するのはなかなか難しいと思いますが、条件を探しながら集めてみてください。

少し話は逸れますが、VF5FSの目玉アイテムのひとつであるスペシャルコスチュームも、このアウトローのうちの一人から獲得できるようになっています。このアウトローは比較的簡単に出会えるようにしてありますので、まずはこれを目標にしていただけたら良いのではないでしょうか。

話を戻して、集める楽しみと言いましたが、この楽しさは、集めるだけでは成立しづらいのではないか、と考えています。そこでノックアウト名鑑にはもうひとつ、人に見せる仕組みを用意しました。

集める楽しみの原点は、お菓子のおまけを集めたり、昆虫採集をしたりといった、現実の遊びがあります。これらの遊びって、手に入れたときのカタルシスもあるかとは思うのですが、もうひとつ、他人に見せびらかすところまでをワンセットとして楽しんでいませんでしたか? やっぱり、何かを集めたら、それを人に発表したくなると思うのです。

 

集める楽しみは、人に見せる部分も対になって初めて遊びとして成立するのではないでしょうか。というわけで、ノックアウト名鑑には「名鑑を比較する」機能がついています。

人に見せるというよりは、覗き見されるような形にはなってしまいますが、ゲームの邪魔にならない範囲内で、人に見せる、見られる仕組みを考えたところ、このような形に落ち着きました。

これを使えば、自分が撃破していて、相手が撃破していない、もしくはその逆に、相手が撃破していて、自分が撃破していないキャラクターがすぐにわかるようになっています。

お友達と見せ合って、自慢したりされたりするもよし。ノックアウト名鑑にはそのキャラクターと遭遇するヒントも書かれていますので、これを参考に未撃破のキャラクターを探してみるのもよいのではないでしょうか。

そんな感じで、KOTSP、アーケード格闘ゲームのシングルモードとしては、面白いものに仕上がったと思っています。興味を持ったら、ぜひ一度プレイしてみてくださいね。

米澤君、丁寧な説明ありがとうございました。
KOTをかなり遊んでくださっている方もこれからの方もバシバシ遊んでみてくださいね!

そうそう、ノックアウト名鑑を見て色々と思いをめぐらせてくれているプレイヤーもいらっしゃるようで、担当も喜んでいました。
他にも、最終ステージの感想もいろいろと拝見させていただきました。気合い入れて作った甲斐がありました。ありがとうございます。

その他にも新しい技やシステムについて色々と研究が進んでいたりしますね。
鋭い切り口のものもあったりしまして、研究熱心さに頭がさがりまくりです。どうなっているんだ?と疑問に思って調べることってゲームの楽しさの一つだと思いますし、こういうところからも新しい遊び方ができていくんじゃないかと思っています。細かいシステムについてはまた『細かすぎて』シリーズもいずれやりたいと思います。コンボ補正の概念を説明するために作った補正値の資料も簡易版ではなくより詳細なものも作りたいですね。
解説ものは準備に時間がものすごくかかっちゃいますので、その前に熱心な方たちが解明しそうでもありますが、私も仕事の合間をみつけてがんばってみたいと思います。必死になりすぎて合間じゃなくなっちゃっ……それではまたお会いしましょう!
オーイェー!



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