■片桐大智ってダレ?
株式会社セガ AM R&D2 所属。『バーチャファイター5』ゲームディレクター。
バーチャファイターシリーズや『デイトナUSA』、『アウトトリガー』等色々なジャンルのゲーム調整を担当。
ゲームはジャンルを問わずどれも好きです。 最近は『バーチャファイター5』や海外のとあるMMOをプレイしています。
■D.K.のVF5通信:第75回■

こんにちは。D.K.です。
Twitterでいただいた様々な質問に答えている米澤ですが、今回Twitterの文字数では伝えることが難しかった件についてもう少し詳しく説明をしたいということですので、この場で説明させていただくことになりました。よろしくおねがいします。

こんにちは。企画の米澤です。

先日私が返信させていただいている、TwitterのVF公式アカウント@vf_official に、以下のような質問をいただきました。

「VF5FS」では”投げ抜けは1方向のみになった”と公式にアナウンスされていますが、実際には複数方向の投げ抜けが可能なように思えます。これは仕様なんでしょうか?
※個人情報が含まれるため、一部内容を変更してあります

元の記事ではさらに詳細な方法まで記載されており、これに対して私の方からは以下のように回答させていただきました。

結論だけ先に言いますと、仕様です。従来の投げ抜け感覚もなるべく変えないように、という意図で入れているシステムによって、特定のケースでのみこのような投げ抜け方法が可能になっています。(米澤) #VF5FS

この件に関して、皆様大変興味を持たれているようでしたので、今回はこの場を借りて、どういうことなのか解説したいと思います。

投げ抜けの受け付けは、投げ成立前後10フレームとなっています。この間に入力されたレバー+P+Gは、投げ抜けとして判定されます。ただし、今回投げ抜けの受け付けは1コマンドのみですので、複数回入力された場合は、最初のひとつのみ有効となります。

▲投げモーション中に投げで掴まれた場合、相手の投げと投げ抜け方向があっていれば、投げ抜けになる

これとは別に、投げモーション中の投げ判定発生前に相手の投げで掴まれた場合、入力された投げと同じ投げ抜け方向の投げは抜ける、というシステムが入っています。これは投げコマンドを入力した際に、それが投げコマンドとして入力されたものなのか、投げ抜けとして入力されたものなのか、システム側でその意図を判断することはできないため、その両方として機能するように、という意図で入れてあるシステムです。この挙動は投げそのもののシステムであるため、前述の投げ抜け入力にはカウントされません。

これらを組み合わせて、意図的に投げのモーションを発生させ、さらに投げ抜けコマンドを入れることで、結果的に合計で2つまでの投げが抜けられるようになっています。また、例外ケースとして、硬直の最後のフレームを投げで掴まれた場合にも、先行入力で投げを入力していれば、このタイミングでコマンドが決定されるため、モーション発生前であっても入力したコマンドは投げ抜けとして成立します。当然相手が投げてこなかった場合は投げ掴みモーションが暴発することになりますが、この場合も同様に、合計2つまでの投げが抜けられます。




ジャッキーを使用して、6Pを相手にガードされた場面を例にとり、いくつか具体例を挙げてみたいと思います。

・P+Gを入力
この場合、P+Gのコマンドは投げと判断され、P+Gの投げ掴みが発生します。ここで相手がP+Gで投げに来ていた場合、投げのシステムによって、自動的に投げ抜けに移行します。ただし投げ掴みは発生してしまうため、相手が投げに来ず、打撃技を出してきた場合は、全ての打撃技がヒットすることになります。

相手の行動

結果

P+G投げ抜けをする
4P+G、6P+G投げられる
打撃技全てヒット

・Gを押したまま、Pを追加入力
この場合、P+Gの簡易投げ抜けと判断され、ジャッキーはガードに移行しますが、P+Gで投げられた場合は、投げ抜けをします。

相手の行動

結果

P+G投げ抜けをする
4P+G、6P+G投げられる
打撃技ガード可能
▲簡易投げ抜けなら、打撃技もガード可能

・P+Gを入力したあと、Pを離す
この場合、P+Gのガード投げ抜けと判断され、ジャッキーはガードに移行しますが、P+Gで投げられた場合は、投げ抜けをします。

相手の行動

結果

P+G投げ抜けをする
4P+G、6P+G投げられる
打撃技ガード可能
▲VF5初期版からのテクニックである、ガード投げ抜けも機能します

・P+Gを入力したあと、Pを離し、投げで掴まれてから4+Pを追加入力
この場合、P+Gのガード投げ抜けと判断され、ジャッキーはガードに移行しますが、P+Gで投げられた場合は、投げ抜けをします。その後簡易投げ抜けとして4P+Gが入力されていますが、これは2つ目の投げ抜けとして判断され、無視されます。したがって、4P+Gで投げられた場合は、投げ抜けにならず、そのまま投げが決まります。

相手の行動

結果

P+G投げ抜けをする
4P+G、6P+G投げられる
打撃技ガード可能
▲ガード投げ抜け、簡易投げ抜けの両方を入れた場合、最初に入れたもののみが有効です

・P+Gを入力したあと、投げで掴まれてからレバーを4に追加入力
この場合、P+Gのコマンドは投げと判断され、P+Gの投げ掴みが発生します。ここで相手がP+Gで投げに来ていた場合、投げのシステムによって、自動的に投げ抜けに移行します。その後簡易投げ抜けとして4P+Gが入力されており、一つ目の入力になりますので、この入力も有効になります。従って、4P+Gで投げられた場合は、通常の簡易投げ抜けと判断され、投げ抜けになります。ただしここでも投げ掴みは発生してしまうため、相手が投げに来ず、打撃技を出してきた場合は、全ての打撃技がヒットすることになります。

相手の行動

結果

P+G、4P+G投げ抜けをする
6P+G投げられる
打撃技全てヒット
▲投げモーションを出せば、投げは二つ抜けられますが、当然全ての打撃技がヒットしてしまいます




これは初めから全て意図していた挙動というわけではないのですが、投げのシステム、投げ抜けのシステムのそれぞれは意図して実装されている仕様です。ですから、あくまで「現段階では」と注意書きがつきますが、仕様と答えさせていただきました。

この挙動を今後変更するかどうかに関しては、変更する場合、どのような修正方法をとるかも含めて、現在検討中です。ご意見などありましたら、@vf_official にリプライしていただくか、このページからメールを送っていただければと思います。

この件はとてもデリケートな部分で、私がもっと早くにちゃんとした形で伝えるべき内容だったと反省しています。今後変更するのか、しないのかについてもチーム内で様々なケースを試しているところです。
繰り返しになってしまいますが、ご意見等ありましたら @vf_official にリプライしていただくか、このページからメールを送っていただければと思います。 よろしくおねがいします。

それではまたお会いしましょう!
オーイェー!



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