■片桐大智ってダレ?
株式会社セガ AM R&D2 所属。『バーチャファイター5』ゲームディレクター。
バーチャファイターシリーズや『デイトナUSA』、『アウトトリガー』等色々なジャンルのゲーム調整を担当。
ゲームはジャンルを問わずどれも好きです。 最近は『バーチャファイター5』や海外のとあるMMOをプレイしています。
■D.K.のVF5通信:第47回■

梅雨ですね。
梅雨といえば、雨上がりの夕方に見る夕日がとってもキレイで大好きです。
こんにちは、D.K.です。
キャラじゃないとか言わないでください。自分がいちばんわかっています……。
でも好きなんだもん。しょうがないじゃない。

さて前回に引き続き、<システムの基礎を学ぶバーチャファイター>をお届けします。
基礎というには少し趣が異なりますが、今回はバージョンアップの際に行った技の変更について解説してみます。

解説しようと思うに至ったのは、『技のリーチが変更になった理由を教えてほしい!』という質問を受けることが多かったからです。では、質問が多かった技をひとつずつ取り上げて、検証してみましょう。
※ 今回はモーション単体を取り上げて、リーチを測定した結果です。 実際のゲーム中ではキャラクター同士が干渉したり、壁の関係で位置がずれる等の 様々な要因があり、すべての場合で同じ結果にならない可能性があります。

まずはアオイの横打()です。この技については、バージョンB以降、「技のリーチが短くなったのではないですか?」と質問をいただきました。

画像は、それぞれ同じフレームを撮影して並べたものです。見比べていただくとわかりますが、リーチの変更はありません。

手を掲げているぶん、攻撃位置は若干高くなっているのですが、以前お伝えしたアタリ判定の変更によって(第43回参照)、従来と同じ感覚で使える技になっています。


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ではなぜリーチが変わったと感じるのか? 
その原因は、モーションのコマ割りにあります。画像を見てください。
旧モーションでは、緩急の付いた動きが見て取れます。技が出始めるときの移動は少なく、そこから一気に移動して技をくり出すイメージです。 いっぽう新モーションでは均等に近いイメージで移動し、技を出しています。

緩急の付いた動きは、一度に大きく動くので、見た目にリーチがあるように見えるのです。それに対して、新モーションの均等でなめらかな動きからは、機敏さや勢いがやや抑えられます。この差こそが、技のリーチが変わったように感じる原因です。

続いて取り上げるのは、アキラの側腿()です。こちらも「リーチが短くなったのではないですか?」と質問を受けました。見比べていただくとわかりますが、この技にもリーチの変更はありません。

旧モーションにご注目ください。均等にコマ割りされて、なめらかな動きになっています。それに対して、新モーションは、一気に移動し、そのあとで蹴りを出す動きになっています。アオイの横打で説明した時と逆の状況です。


▲画像クリックで大きく表示されます

ではなぜこの技のリーチが短くなったと感じるのでしょうか? 

こちらの画像を見てください。
蹴りを出した直後から、構えに戻るまでの画像です。 旧モーションでは、蹴ったその場で足を下ろして技が終わっています。いっぽう新モーションでは、蹴った位置から若干後ろに移動しながら技が終わります。 相手キャラクターに技を出した場合で考えると、技を出し終えたあとで互いの距離が離れることになります。このときの印象が強く残ることで、技のリーチが短くなったと感じたのではないでしょうか。


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最後に、こちらはカゲの流影脚()です。
この技については、「技の発生が速くなって強くなったのではありませんか?」という質問がきていました。そう感じる方が多いようなのですが、攻撃発生のフレーム自体は、27フレームから29フレームへと変更されていて、速くなったどころか2フレームほど遅くなっています。


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また技のリーチについても、若干短くなっていますので、データ的に見る限りでは「技が強くなった」とは言えません。

ではなぜ強くなったと感じる人が多いのでしょうか? 画像の右上部分を見てください。旧バージョンでは、技が出始める直後から、大きく動作が変わっている点に注目してください。それに対して新バージョンでは、動きがマイルドになったぶん、技が出始めることの判別がしづらくなっています。 立って構えている姿勢と大きく異なる格好に、早くなればなるほど、技が出ることを認識しやすくなりますので、この結果、体感では速くなった(=強くなった)と感じるのです。

つまり流影脚()の変更については、単に攻撃発生のフレームで技性能を語るのでは不足で、見切りづらくなった点を考慮する必要がある、ということです。動作による技の見切りづらさを加味すれば「技が強くなった」と言えるケースだと思います。

「技が速くなった」という言葉には、2種類の要素が含まれていると思っています。
『実際に攻撃発生のフレームが速くなったモーション』と、
『体感で攻撃発生のフレームが速くなったように感じるモーション』です。
人が受ける印象は同じでも、それぞれ意味合いが異なりますので注意してみてください。

いかがだったでしょうか? 
またも長々と語ってしまいましたが、みなさんからいただいた質問の答えになっていれば幸いです。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。
それではまたお会いしましょう!
オーイェー!



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